*興味のある方はご覧ください

 

■上下消化管内視鏡検査

  (胃カメラ・大腸カメラ)

 

 内視鏡検査は苦しい検査と思い検査受診を躊躇されている患者様へ!

   内視鏡検査は理に適った安全な検査で専門施設(大学病院や研修施設など)で一定期間のトレーニングを受けた医師が施行すれば検査中(難易度の高い治療以外)の手技による事故は殆どありません。また、苦痛を伴う検査になるか否かは検査を行う医師の熟練度(経験症例数)に左右されます。

 

しかし、胃カメラや大腸カメラを受ける方が、病気や検査に対しての不安が強ければ強いほど、胃カメラの場合は喉に力が入り食道(喉)の入り口を強く閉ざしてしまい、上手く胃カメラを呑み込めず、検査中もちょっとしたカメラの動きに喉が敏感に反応し、ゲップや嘔気、咳などを我慢できなくなります。大腸カメラの場合は被験者の不安により腹筋や腸管自体が過緊張状態となれば、術者は通常の緩い力でカメラを挿入する方法(短縮法)で挿入する事が困難となりカメラを押し込むような挿入法(プッシュ法)となります。そうなると被験者は痛みを更に強く自覚するようになります。以上のような状態では精密な検査(詳細に観察)を遂行することは不可能です。

 

『私は喉が狭くて胃カメラを上手く呑み込めない』と訴える方がいらっしゃいますが、医学的に人間は乳児から超高齢者までの誰もが500円硬貨の大きさまでは呑み込みが可能で肛門から排泄できるように出来ています。よって直径が10mm前後の胃カメラを飲み込む事に何の問題も無いのが真実なのです。検査前に医師や担当看護師が、正しい検査の受け方を解かりやすい言葉で優しく説明すれば、ほんの少しの我慢で楽に検査を受ける事が可能なのですが、、、、、

 

以上の事を簡単に解決(検査中の苦痛を忘れてもらう)する検査法が、皆さんが巷でよく耳にする『眠って受ける検査』です。医療用語でセデーションと言います。

 

セデーションについて理解しましょう!

 方法及び使用薬剤は施設によって違いますが、一般的にはミタゾラム又はサイレース等の鎮静剤を使用します。これらの薬剤を検査前に静脈投与する事で検査に対する不安が薄れ、ウトウトした状態で楽に検査を受ける事ができますが、同薬剤の副作用の一つである健忘作用により検査中の記憶が曖昧になるという短所があります。

次にプロポフォールという麻酔薬があります。

この薬剤は真の麻酔薬で麻酔専門医による投与が義務付けられていますので使用できる施設は限られます。薬剤の投与直後から覚醒までの記憶は空白となり検査中の意識は完全に消失します。

 

以上が『眠って受ける検査』の概要です。

この方法により検査を楽に受けることが出来ますが、患者様によっては下記のような副作用、合併症が出現することがあります。

 

注射部位の炎症、静脈炎、血管痛、血圧低下、呼吸抑制、低酸素血症、健忘(検査中・検査後の記憶がなくな ること)、不整脈、アレルギーなどがあり、その発生率 は0.0013%(約 8 万分の 1)、死亡率は0.000023%(約 430 万分の 1)と低いですが、検査時に必ず必要ではないこれらの薬剤を使用するにあたっては、下記の項目(①~⑦)を厳守する必要があります。

 

①検査後に乗り物を運転してはいけない

②心臓や肺に慢性疾患がある方や80歳以上の高齢者は適応外

③検査中は血圧、脈拍、血中酸素濃度をモニターで厳重管理

④検査中に副作用が出現した際、速やかに中和剤の静脈投与や血圧管理などの緊急処置ができるように点滴輸液下に検査を施行

⓹検査終了から薬剤の効果が半減するまでの2~3時間は点滴を受けながら院内で経過観察が必要

⑥帰宅時は家人の迎えか公共の乗り物を利用する

⑦薬剤使用におけるメリット、デメリットを理解して頂き同意書への患者様の署名が必要

当院では検査時、ご家族もしくは後見人の方に検査室に入室して頂いて検査への立ち合いを奨めております

 

 

 胃カメラや大腸カメラは検査とは言え、専門医が行う診察です。

がん二次検診(精密検査)や、お腹の症状で不安を抱いて受診された全ての患者様に対し、疾患が無ければ安心を得て頂き、疾患があれば少しでも早く正しい治療へ導く事が目的ですが、セデーション下に検査を受けられた患者様の中には、

『他院で内視鏡検査を受けて異常無しと言われたが、症状が改善しないから不安』と他院の検査結果に納得されず、セデーション無しでの再検査を希望される方を時々お見掛けします。

検査で器質的な異常を認めないにも関わらず、ストレスや環境の変化が原因で苦痛を伴う腹部症状の出現消失を繰り返す機能性胃腸症や過敏性腸症候群の方に多いようです。

 

当院ではメリットもあればデメリットもあるセデーションを積極的には奨めておりませんが、下記①~④の組み合わせで患者様のご希望に沿った方法で検査を行っております。        

 

『眠って受ける検査』

②『起きて(眠らないで)受ける検査』

経鼻内視鏡カメラを使用

 *呑み込み時の喉の不快感は殆ど無くセデーションの必要なし

 *鼻腔が狭い場合は経口挿入となりますが、熟練医の施行であれば

  経鼻挿入時と同様に喉の不快感は殆どありません

④ 精密検査用経口内視鏡カメラを使用

 

胃カメラの場合 

①+④、②∔④、②+③

 *検査後に職場に戻る必要や所用がある患者様へは眠らなくても楽に受ける事が可能な②+③推奨しています

 

大腸カメラ   

①もしくは②

 *当院では全症例の9割弱の患者様がを希望されています

 

胃カメラ、大腸カメラについて補足!

胃カメラについて

基本的に胃カメラ検査で痛みはありません。

当院では、殆どの患者様が起きた状態での検査を希望されますが、喉の反射が強い方や不安が強い方には、セデーションをお奨めしております。

しかしながら、近年では内視鏡スコープの著しい性能向上により「胃カメラが苦しい」は過去の話で、鼻から挿入するうどんより細い経鼻内視鏡スコープを使用すればカメラを飲み込む感覚など殆ど無く、鼻の痛みや鼻出血もありません。よって時間的にもリスク的に患者様に負担がかかるセデーションの必要はありません。

当院で現在導入しているハイビジョン画質の経鼻内視鏡スコープは10年位前の経口内視鏡スコープに比べても画質の鮮明さで引けを取りません。過去に胃カメラ検査で苦しい経験をされ、トラウマをお持ちの方は経鼻内視鏡検査を一度試されてはいかがでしょうか。

 

大腸カメラについて

大腸は肛門から一番奥の盲腸までのジャバラ状で伸縮性のある管状の臓器で、内部には排泄前の便が貯留しているため、大腸の壁を詳細に観察するためには、貯留している便や腸の壁にべったりと付着している便を一掃する必要があります。よって、検査前に腸管洗浄剤を2時間以上かけて飲用して強制的に残便排泄を開始します。飲用後、1~2時間くらい経過して排泄便汁が透明なオロナミンC様になれば検査を開始できます。

 

検査法は直径13㎜前後のカメラを肛門から挿入し、丁寧かつ細心の注意を払いながら伸ばせば1m40cm弱になる大腸を最短の85㎝位に短縮させながら盲腸まで挿入、その後ゆっくりと肛門まで引き抜きながら大腸の壁をくまなく観察します。

検査に要する時間は約20分前後ですが、ポリープ発見時はその場で切除後、回収して病理検査センターへ提出します。病理の結果は2週間後の説明となります。ポリープ切除に要する時間は準備~切除~回収まで1個につき3分くらいです。

 

大腸カメラの場合、基本的にはセデーションを必要としませんが、下記の#1、#2のような理由で過去に受けた検査が苦しかった事で検査に対して強いトラウマをお持ちの方に対してはこちらからお奨めする事もあります。

 

  #1 体質として過敏性腸症候群がある場合

 腸管が刺激に対して非常に敏感なため、カメラ挿入時の刺激やカメラからの送気による腸管拡張時に痛みを自覚されることが多いです。

 

  #2 腹部手術後のシビアな腸管癒着がある場合

 過去に腹部手術歴があり手術創の近傍腸管に癒着が存在すると、通過障害を来しお腹が張ったり、慢性の便秘を生じたりします。腸管の癒着部は固くてヒキツレている事が多くカメラが同部を通過する際に痛みを自覚される事があります

 

 

 術者がカメラを一番奥の盲腸まで大腸を縮めながら理想的に挿入すれば、カメラは大腸内に最小限の85㎝弱の挿入で済むため為、お腹の張りや痛みを感じること無く検査を受ける事ができますが、術者がカメラを強引に押し込むような方法で盲腸まで挿入すると大腸が140㎝位まで無理に伸ばされ、お腹の強い張りと痛みを自覚します。閉鎖空間のお腹の中にカメラが140㎝入っているか90㎝入っているかでは苦痛度的にその差は歴然です。

内視鏡検査は技術職につき、術者の経験と技量の差で苦しさの度合いに大きな差が生じます。よって、セデーション処置は検査を楽に受けるために絶対必要な処置では無いという事実も理解しておきましょう。

 

過去に受けた検査で苦しい経験をされて検査に対する不安をお持ちの方は検査予約時にスタッフもしくは医師になんなりとご相談ください

 

 

当院でのその他の検査について 

■超音波検査(エコー)

漁業で使用されている魚群探知機と同様の原理の検査です。検査による苦痛は一切無く、簡単に受けることが出来ますが、腹部の精密検査時は腸内に便やガスが多いと検査精度が極端に低下しますので前日夜に緩下剤を服用し、検査当日は朝から食事抜く必要があります。

検査部位

 甲状腺 (精査、組織生検)

 頸動脈 (動脈硬化チェック)

 腹部  (肝・胆・膵・脾・腎・膀胱の精査)

    

 

■X線検査(単純撮影、透視検査)

X線という電磁波を使用して骨や内臓の写真を撮影します。妊娠の可能性がある方への撮影は禁忌です。また、若年者に対しては生殖器への影響を考慮し安易に撮影しません。

当院ではAI技術を活用して胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3つの画像所見を検出し画像診断を支援する「胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID」を導入しております。

 

検査部位

 骨・関節・胸部・腹部など

 胃、大腸

 

 

■ABI

簡単に受けることが出来る動脈硬化の度合を確かめる検査です

 

 

■骨密度検査

簡単に受けることが出来る骨粗鬆症の度合いを確かめる検査です

 

 

■呼吸機能検査

簡単に受けることが出来る呼吸機能を評価する検査です